私が議員に当選する直前、33歳の頃に父が亡くなり、幾ばくかの山林や田畑を相続しました。

田畑の管理は親類にお願いしたのですが、問題は山林です。

都会の人に「山林を持っている」と言う話をすると羨ましがられますが、何の収入源にもならない山林は、今では田舎で生活する人の「負の財産」となってしまっています。

その山林を私はずっと一人で維持し続けており、1年のうちでおそらく30日くらいは山で仕事をしています。

別に収入になる訳でもない山林に、2週間に1～2度くらいの頻度で入山しているのです。

下草を刈り、枝打ちをし、勝手に生えてきた自然生えの樹木を切り倒し、それを刻んで肥料にし、再び山へ帰す。

そういう作業をかれこれ20年し続けています。

山林と言うのは、人が手入れをしないとすぐに荒れ果ててしまうのです。

野良仕事をしていると、「これこそ人類の原点」と痛感します。

日頃スーツを着て議会で仕事をし、行事の際には来賓として挨拶し、道行く人に手を振りながら演説をする。

そんな日常から別世界に移動して、誰も助けてくれない、自分の肉体と経験だけが頼りの野良仕事は、私にとって一番大切な時間であり、修練の場になっています。

私の息子にもこの作業は伝授しており、まだまだ一人前とは言えませんが、しかし確実に成長している息子を見るのは頼もしいものです。

昔、父も同じように私を見ていたのでしょうか。

​今後も野良仕事と共に生きて行きたいと思っています。